2008年01月30日

アントワネット。

ソフィア・コッポラ 『マリー・アントワネット』(2006) ★6.5

『ロスト・イン・トランスレーション』のソフィア・コッポラの最新作で、主人公はキルスティン・ダンスト演じる無邪気で可愛らしい少女、マリー・アントワネット。僕はソフィア・コッポラの撮るガーリー・ポップな作品はけっこう好きで、こういう感じを撮れる監督って今まであまりいなかったなーっていうことで期待してたんだけど、これはイマイチでしたね。ポップできらびやかで可愛らしいマリーを笑顔で観ていられるのも、いいとこ30分ぐらいで、結局ソフィア・コッポラが描きたかったのってきゃぴきゃぴしたマリー・アントワネットの姿だけでそれ以外はホントに空虚な感じを受けました。僕が想像していたイメージだと、彼女の無邪気さとか破天荒な感じが格式張ったヴェルサイユ宮殿をもっと伸び伸びとした楽しい場所に変えていくような話かと思ってたんだけど、そんなんではなくて、来たるべきラストの悲劇までホントに好き勝手に遊んでるだけっていうような話で、なんか全然こうグッとくるところがなかった。上流階級から蔑まれてる国王陛下の愛人の女がいるんだけど、僕は最初、マリーはお妃の立場でありながら彼女と仲良くなっちゃうみたいなそういう人かと思ってたら全然そんな人ではなく、マリーもまたその女に対して当然のように軽蔑を示して「あんな娼婦とは口もききたくない」とか言っちゃって、なんか結構彼女って情が薄いんですよね。陛下が崩御して、ルイ16世(マリーの夫)に王座が移った後すぐに盛大な誕生パーティーで彼女のはしゃいでいるシーンが入るし、国王が死んだことなんて彼女の頭にはどうでもいいんだな、って思ったあたりから僕はもうダメでしたね。まあ、民衆のこととか考えずに遊びまくってた王妃だから、そんな感じの人かとも思うんですけど、そうなると本当にここには幼稚なデカダンスしかなくて観てるこっちとしては辛いです。たぶん、監督的には朗らかで天真爛漫で現代的なマリー・アントワネットを描きたかったんだろうけれど(んで、それは僕も面白いと思うけど)、だったらきちんとした人間らしさが描けてないと、それは単なるセレブリティの頽廃的な世界っていう風になっちゃってポジティブな方向にいかないんじゃないかなー。んむー。



予告。↓

タグ:伝記 洋画
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SILENT HILLを観る。

クリストフ・ガンズ 『サイレントヒル』(2006) ★9.5

(*一応、ネタバレ注意)これまたコナミの人気ホラーゲーム「サイレントヒル」の映画化っていうことで、最近かなりゲームモノばかり観てますが、いや、しかしこれはメチャクチャ傑作でした。ホントこういうのを観たかったんだよっていう感じで、冒頭から一気に物語が走り出してこいつはマジでヤバいです。あらすじを説明すると、ローズとクリスという夫婦の間にシャロンという9歳の娘がいて、彼女は夢遊病を患っていて一人で寝ながら徘徊しちゃうんだけど、その状態の時に娘がことあるごとに「サイレントヒル」という地名を口にしてて、それが気になった母親のローズが娘と一緒にかつて実在し、今はゴーストタウンと化したバージニア州(だったかな?)の「サイレントヒル」を訪れる。んで、そこではかつて狂信的とも言えるような強い信仰心が民衆を支配してて、そういった集団ヒステリーによってある少女が魔女扱いを受け、火あぶりにされて‥‥。っていう感じで、話はかなりオカルティックでビザール(『ザ・セル』のイメージにちょっと近い)な色彩を放ちつつ進行していくんだけど、何がイイって、途中で消えてしまった娘を助ける為に恐怖をものともせずに一心不乱に立ち回る母親ローズがカッコ良過ぎです。この街に踏み込んだ時から、彼女は薄々ここがヤバい場所であると勘付いてるんだけど、でも娘を置いて逃げる訳にはいかないっていう断固たる決意が彼女を支えていて、その「腹を決めた感」がぐんぐん映画をドライブさせていく。無人の街中に、変な汚い婆さんがいきなり出てきた時もローズはびっくりするよりもまず「ここは一体何なの?娘はどこなの?」と食って掛かるっていう、そういった有無を云わせない迫力が彼女にはあって、これこそ僕がホラー映画に求めていた「敵」に立ち向かう主人公の姿だと思いました。カメラワークや編集も抜群に冴えてるし、ホント最後まで興奮しっ放しで、強いて言うならラストの教会のシーンはあんな触手系じゃなくてもっと効果的なイメージがあったような気もしないでもないんだけど、いやーでもスゴいですね、これは。もう、全くもって必見です。

『ジェヴォーダンの獣』も観てみたいわー。



予告です。↓

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2008年01月29日

ゲルマニウム。

大森立嗣 『ゲルマニウムの夜』(2005) ★7.0

監督はこれが長編デビュー作で、お父さんはあの麿赤兒(本作でもちょっと出演してた)らしいです。主演が、最近売れっ子の新井浩文で、原作が花村萬月。ストーリーは、やはり花村萬月なのでエログロ話で、都会で殺人を犯した新井浩文演じる朧(ろう)が、修道院の院長(石橋蓮司)の好意で、雪の中に佇むかつて育ったその修道院で匿われるようにひっそりと働いていて、でもその見返りとして院長の下の世話(性処理)とかもやらされていて、そういった偽善的な「聖」なる閉鎖空間に苛立ちながら、神への冒涜としてシスターを犯して孕ませたりとかするような話で、まあ、なんていうか簡単に言えば修道院における「聖」と「俗」っていうか、一見貞淑なイメージだけど実はこんな淫らで堕落した空間なんだよっていう話で(って言っても、ジェス・フランコみたいな感じではありません。念のため)、そういう「聖」と「俗」が表裏一体的な話は『聖獣学園』とか観てれば、もう別にことさら目新しくないなーっていう感じで、序盤は結構退屈でした。宗教感情と性っていうのが繋がってるっていうのは、シスター萌えとか見てても良く分かるんだけど面白いかって言われれば、あんまり面白くない題材で、主人公の朧はつまるところエヴァのシンジ君だなーと思った。単なる変態なのにいろいろこじつけて哲学にしちゃう感じというか、そういう雰囲気が序盤にはあってちょっとイヤだったんですが、でも後半にやっと「聖」と「俗」をめぐる哲学的な雰囲気が単なる変態モードに変わってきてそこからは割と楽しめた。ラストがまた秀逸で、朧が年下の高校生トオルに口でヌイてもらった後に、「お前、以前に足の指の間に垢が溜まるって言ってただろ。それを嗅ぎたいんだ」みたいなこと言って、トオルの足の指の垢をこそぎとってそれを嗅いだ後に「臭いには善悪がない」っていうシーンではさすがに吹き出しましたね。んで、エンドロールが流れるっていうw。あのラストの感じ、冒頭から全開でいってほしかったよ。



http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=323683
タグ:邦画
posted by ケニー at 18:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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