2008年03月29日

brothers of the head。

キース・フルトン/ルイス・ペペ 『ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド』(2005) ★7.8

ブライアン・W・オールディスの同名小説を原作にした『ロスト・イン・ラマンチャ』のコンビによるフェイク・ドキュメンタリー作品。主人公のトムとバリーは結合双生児として産まれてきた双子で、お腹の辺りでくっついていて離れることが出来ない身体の持ち主。そんな二人をザックという興行師が見つけ、シャム双生児のロックスターとして売り出そうと考えて、彼らに音楽を教える。そのショッキングな外見やセクシーなルックス、初期衝動なパンク・アティチュードによって瞬く間にロックスターとして人気を博すも、ドラッグや女性関係などで生活は荒んでいき、二人の関係は急速に悪化して、物語は悲劇的な様相を呈していく‥‥。
『ベルベット・ゴールドマイン』とかもそうだけど、こういった刹那的に一瞬だけ強烈な輝きを放って堕ちていくロックスターみたいな話に僕は結構弱くて、あ〜なんでこんな結末になっちゃうんだろう‥‥って毎回このテの話には重たい気持ちになるんですが、そもそも彼らはお金とかドラッグとか女とか大勢のファンとかそんなものを欲しているんじゃなくて、そんなのは単にお飾りにすぎないんだけど、でも、本当に心底欲してるものだけはどうしても手に入らないっていう、その決して成就しない感じが何とも痛ましい。やっぱり誰かが劇中で「お前の欲してるものはそんなものじゃないだろ」って言ってあげないとダメだと思った。トムとバリーが一緒に裸になって抱き合うようにシャワーを浴びている光景には、どことなく打ち捨てられた「受難者」っていうような暗い雰囲気があって、この世の生きづらさを象徴してるみたいで「うう、うう」ってなります。で、大体こういう人間たちは死後に評価されたりするんだよね(スキャンダラスで売れるから)。世知辛い世の中。別にハッピーエンドであってもいいのに‥‥フィクションだしさ。で、ちょっと疑問っていうか不満なのは、このフェイク・ドキュメンタリーな手法で、僕の好みとしては普通にフィクションのドラマとして撮ってほしかった。インタビュー映像で原作者のオールディスとかなぜかケン・ラッセルとか出てたけど、そういうメンツもハッタリとしか思えずいまいちそこにはノレなかったです。



予告。↓

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2008年03月24日

弁天のお尻。

いまおかしんじ 『弁天のお尻 彩られた柔肌』(1998) ★7.2

ちょうど現在、最新作の『たそがれ』が公開中のいまおかしんじ監督(当時はいまおかしんぢ名義)による近未来SF(?)なラブストーリーです。っていうか、この話はいましろたかしの『デメキング』を大いにパクっていて、しかもどうやら監督が原作者に話を通さず勝手に映画化しちゃったっていうことらしい。その「勝手にやっちゃう感じ」がいまおかしんじっぽくてトンデモないなーと思うんですが、ストーリーを簡単に説明すると、1998年、主人公の大黒(鈴木卓爾)が事故に遭い、よく分からない変な夢を見る。その世界ではデカい怪獣が暴れて街を破壊していて、その怪獣に一人の女性(長曽我部蓉子)が踏みつぶされて死んでしまう。女性の背中には弁天様の入れ墨が彫ってあって、それを見下ろす大黒。夢から覚めた大黒は大きなビンを拾い、中を開けてみると折り畳まれた紙が入っていて、それを広げると超デカい足跡が魚拓のように象られている。その横には「デメキングの足跡、採取者、大黒雅人(←名前合ってるかな?)、1999年」って書かれてて、どうやら未来で大黒本人がデメキングの足跡を採取したらしいと分かる。んで、そうこうしてるとあの踏みつぶされた女性に電車の中で出会い、大黒はこの人をデメキングから守ろうと心に決めるのだった‥‥。
漫画の方の『デメキング』は僕も読んでいて、正直ストーリーは面白いのに途中で終わっちゃうっていう投げやりな感じで勿体ないと思ったんですけど、この映画化もそういった意味では怪獣云々は割と適当な扱いで、要は女とどういう出会い方で出会い、どういう関係性を持たせるかっていうことで『デメキング』を拝借したような感じです。だから、中心となるのは大黒と女・ペン子(変な名前)のラブストーリーなんだけど、そこもなんだかちょっとノリづらい。ホテトル嬢と精神疾患の病人っていうことでお互いに孤独を抱えた二人だっていうのは了解できるけど、いまいち実感を伴わないっていうか「どうしたいの?」って、観てて思う。これが、もう絶対に死ぬ運命から逃れられないっていうことならば悲痛なラブストーリーとして上手く成立しそうだし、逆に怪獣を本気で倒して二人の未来を勝ち取るっていう方向でいけば、ちょっとトンデモなアクションとしてまあ分かるんだけど、これはそのどっちにもいかない妙な感じなんですよね(ラブストーリーであるのは間違いないんだけど)。いまおか監督の作品はまあ大体が妙ではあるんだけど、今作はそもそもどうしようか決めかねている感じ。『東京上空いらっしゃいませ』でいくか、『タクシードライバー』でいくか、どっちにしよう?っていうような。最後の、神社での大黒とペン子のラブシーンが良いだけにちょっと勿体ないなって思いました。ペン子役の長曽我部蓉子は全体通して、すごい良くて、「私のこと守ってくれるって言っただろー!デメキング倒すんじゃなかったのかよー!」にウルウルした。いまおか作品はセリフがいい。



http://pink2000s.cocolog-nifty.com/meikemitsuru/2007/12/post_175b.html
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2008年03月23日

初恋。

塙幸成 『初恋』(2006) ★8.7

1968年に起きた、かの有名な「三億円事件」を題材にした宮崎あおい主演のラブストーリー。世紀の大事件の犯人は実は女子高生だったということで、その犯人役みすずをあおいちゃんが演じています。いきなりのネタバレかよって感じですが、でも、そういう「ね、ビックリでしょ!?」みたいなスキャンダラスな描かれ方ではなくて、女子高生みすずのとても等身大な、いわゆる青春モノとして演出されていて好感が持てます。
両親に捨てられ、預けられた叔父の家では厄介者扱いのみすずは、幼い頃別れた兄と再会し、彼の通うジャズバーに出入りし始める。そこには何人かの仲間たちがいて、彼らもみすずと似たような世間からつまはじきにされた人間たちで、みすずも彼らと打ち解けていくんだけど、仲間の一人が機動隊にリンチを受けて歩けなくなったり、そんな闘争に嫌気が差して実家に帰っていったりと、徐々に彼らの放蕩生活も煮詰まっていってみんなバラバラになってしまう。そんな時に、仲間内で一番シニカルで非行動派っていう感じの岸(小出恵介)がみすずにある計画を持ちかける。これが「三億円強奪計画」で、みすずは自分のことを必要としてくれるっていう喜びと、岸に対する秘めた恋心、そして一種の自己実現っていうか「これで自分も変われるかも知れない、変わりたい」っていう思いから計画に協力する。この計画に乗る辺りがすごくいい感じで、10代の頃に誰もが抱くような普通の等身大な感情によって「三億円事件」が起こるっていう、その流れが素敵です。これはありそうもないって言えばそうかも知れないけど、僕は結構リアルだなあと思った。なんとなく『最終兵器彼女』とか『ほしのこえ』とかに通じる現代的なリアリティというか。この映画も最後すごい切ないし。まあ、見方によっては甘っちょろい世界だなーと思われるかも知れないけど、映画自体もの凄く丁寧に作られていて非常に良い映画でした。ほとんど文句の付けようがないぐらい良く出来てる(強いて言えば、セリフがちょっと練られてないようなベタな感じがするのと、全体的にあまりに良く出来過ぎてるっていうところかな。もうちょい冒険しても良かったかも)。あおいちゃんはいつも通りすこぶるイイし、小出恵介もなかなか悪くないし、この監督は良く知らないけど今後なかなか期待できそうな気がした。



予告。↓

posted by ケニー at 02:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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