2008年05月30日

ミヒマルの新作‥‥。

mihimaru GT 『mihimarise』 ☆6.8

約2年ぶりになるというミヒマルGTの4thアルバム。#2「ギリギリHERO」や#10「俄然Yeah!」などのヒットシングル4曲を含む、全14曲収録です。僕は「俄然Yeah!」とかかなり好きなもんで今作には大分期待してたんだけど、ちょっとコレは残念な感じでしたね。「ギリギリHERO」とか#3「I SHOULD BE SO LUCKY」とかのシングルカットされた曲も全然ピンと来なくて、JPOPでシングル曲に燃えない/萌えないのはちょっと致命的な気がする。アルバムリリース前に「ギリギリHERO」は某レコ屋で試聴してたんだけど、その時からちょっと嫌な予感してたんすよね。だってこの曲ホントにしょうもないんだもん。なんでこんな凡庸なことになっちゃうんだろ?ちょっと大塚愛がダメになっていった感じとオーバーラップして怖いです。

ミヒマルっていうとやっぱりめちゃくちゃヒットした「気分上々↑↑」とか今作にも入ってる「俄然Yeah!」みたいな葛藤一切なしのアゲアゲソングがまさにミヒマル節だと思うんだけど、アルバムを通して聴くとそういった必殺のキラーチューンは実は少なくて、割とフツーのバラードとか入ってるんですよ。で、それが何ていうかあんまり面白くない。初期の大塚愛とかBENNIE Kとかミヒマルとかって四の五の云わずにテンションで押し切るナチュラルハイな感じに予期せぬ批評性みたいのが生まれてたんだと思うんですけど、おそらく作り手としてそこらへんに意識的じゃないからなのか、そのある意味白痴的なテンション一本でがんがんキラーチューンを量産するような方には行かない。そこがスゴく勿体ないんですよね。

で、最近気付いたんですけど、音楽や映画に関わらず僕が今求めてる表現ってそういったウェルメイドに地ならしされたモノじゃなくってもっとエクストリームなっていうか、そういうベタな葛藤とかいらないから、っていうモノなんですよね。だから、『血と骨』の金俊平はスゴかったし、少し前に出たイルリメのアルバムとかもそういう意味でヤバかった。これは別に、リアルな現実に葛藤が存在しないとかそういうことを言ってる訳じゃなくて、それっぽい演出をしてつまらなくなるんだったらいっそのことそんなんいらんよって思うんですよ。30年前に自分を捨てた親父との愛憎入り交じった再会があって、で、うっすら和解するとかそういうの。むしろ、そういうロマンチストには理解の及ばない非人間的な人間の登場を期待したいし、おそらくそこから誰も見たこと聞いたことない葛藤やら業やら抑圧やらが飛び出してくるのではないかなっていう。って、全然アルバムのレビューになってねえー。ひええー。

あ、でもちょっとフォローしとくと#7「BLUE TAGGING」から#10「俄然Yeah!」までの流れはなんだかスゴくいいです。特に#9「ええがな」は関西ノリが頭悪くてまさにええがな〜。やっぱ、これやがな〜。



#10「俄然Yeah!」PV。↓


タグ:JPOP HIPHOP
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2008年05月28日

血と骨に悶絶。

崔洋一 『血と骨』(2004) ☆9.0

山本周五郎賞を受賞した梁石日の同名ベストセラー小説を、ビートたけし主演で映画化。共演に鈴木京香、新井浩文、オダギリ・ジョー、田畑智子、柏原収史となかなか豪華な顔ぶれ。このストーリーも『パッチギ!』同様に在日朝鮮人を描いたモノなんだけど、比べるのは忍びないですが、こっちを先に観てたら『パッチギ!』は観れたもんじゃなかったなあ、と痛感。作り手の意識の有り様が全く段違いです。

舞台は、1923年の大阪。戦争特需に沸く中、多くの朝鮮人が一旗揚げようと済州島から日本にやって来ていて、主人公・金俊平(ビートたけし)もその一人。同じ朝鮮民族が暮らす地域に居を構え、持ち前のバイタリティと漲る闘争心で、彼はそこら界隈で一目置かれる存在になる。そんな中、女手一つで幼い娘を育てながら暮らしていた李英姫(鈴木京香)と結婚し、新たに子供ももうけて家庭を築くが、金俊平は口が裂けても家庭的などとは言えないような自己中心的な男で、他所に別の女を囲って、家にはお金も入れない。たまに帰ってきたかと思えば欲望の赴くままに、子供の前で嫌がる妻を抱くような卑劣漢で、文句のあるヤツには妻だろうが娘だろうが鉄拳制裁も厭わない。家族はもちろん、周りの若い衆も誰も彼には逆らえないまま、ただただ皆、腫れ物に触らないように怯えて暮らしているのだった‥‥。この物語は、その唯我独尊的な怪物、金俊平が老衰で大往生するまでを描いた伝記映画という感じです。

今作で何より圧巻なのは、この金俊平の、最初から最後まで家族や仲間一切を全く顧みないっていうその人物像に尽きます。このテの話を制作する時に普通の意識だったら、最終的に憎み合ってる息子(新井浩文、オダギリ・ジョーなど)らと何らかの和解があったり、奴隷のように扱ってきた妻に対して後悔の念を示すような描写が多少なりともあったりするんじゃないかと思うんだけど、ここにはそういったヒューマニズムやヒロイズムが一切ない。この一貫した金俊平の無頼加減はホントに凄まじく、なんていうか大自然の脅威とか天災とかが象徴する理不尽なエネルギーをこの男は体現してるかのようで、圧倒的な存在感を放っている。

途中のエピソードで、妾として囲っていた日本人の女が脳腫瘍の手術後に寝たきりの植物状態みたいになっちゃって(「あ〜」とか「う〜」とかしか言えない)、その女を介護する金の姿が出てきて、僕は「ああ、この男にもこんな仄かな優しさがやっぱりあるんだなあ」とちょっとホロッときたんだけどそれも束の間、金俊平はその女の無惨な姿を見かねて、結局濡れ新聞紙で彼女を窒息死させるんですよ。「楽にしたった‥‥」って。これは本当ショックだったよ。おそらく、それは金俊平なりの優しさなんだと思うし、そういう風に演出されてもいるっぽいんだけどそれにしてもビビった。これが単純に子守りなんか面倒くさくて出来るかっ!っていう外道が殺したんならまだ理解がしやすいんだけど、金俊平は何か得体が知れない。人間として最低なヤツなのは間違いないんだけど、何なんですかね、この男は?『ミリオンダラー〜』な感じの深い葛藤があるようでいながら一方では全く何の葛藤もないような超然ぶりも感じられて、なんつうか理解の範疇を超えた存在っていうかある種の神話的な人物っていうか。似たような人間って他の映画ではあまり思いつかないけど、何となく『捜索者』のジョン・ウェインとかそんな感じかなあ。西部劇におけるビッグブラザーな人物とか近い気がしました。それにしたってこの人間像は際立って凄いなと思う。梁石日の自伝的な作品らしいけど、こんなのが親父だったらと考えるだけで、恐ろしい。



http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=320649
タグ:邦画 戦争
posted by ケニー at 16:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年05月27日

ハード・キャンディー。

Madonna 『Hard Candy』 ☆6.6

さて、連日更新してますが、いつまでこのペースが続くのか期待したいとこです。っていう訳で今回は、マドンナの約2年半ぶり、通算12枚目になるらしいオリジナル・ニュー・アルバムです。ジャスティン・ティンバーレイクやカニエ・ウエストなどが参加してて、ちょっとR&BやHIPHOPな感じがそこかしこに。僕はそもそもマドンナってちゃんと聴いたことなかったんだけど、ちょっと前に友人Kに教えてもらった「American Life」っていう曲を聴いて、おお!確かにイイじゃないか!っていうんで今作は結構期待してたんだけど、う〜ん、これはちょっとピンとこないッス。

以前紹介した木村カエラの新作『+1』とかもそうだったんだけど、このピンとこなさ加減を上手く言葉にするのはなかなか難しくて参りますが、とりあえず僕の中の唯一のマドンナ基準である「American Life」との比較で書くと、この曲がすこぶるカッコいいのはトラックやヴォーカル、効果音とかも含めてすごくタイトでめちゃくちゃ抜けが良いっていうのがあるんだけど、今作の『Hard Candy』にはその抜けの良さ=クールネスみたいのがないっすね。音質の良し悪しもあるのかもしれないけど、どの音がどこで鳴っててそれがどんだけ利いてんのかよく分からなくてなんだかフラストレーションが溜まる。Vo.もずっとミドルテンポのコーラス調でキレが悪いっていうかつまらないことになってて、初音ミクでリテイクした方が良いんじゃないかっていうような。キムタクのドラマの主題歌になってる「Miles Away」も全然グッとこないし。なんか日本のチャートを賑わしてる似非R&Bな軽い感じでまあ月9にはお似合いかもしれないとは思う。

とはいえ、シングルになってる「4 Minutes」とか#7「Incredible」とか#9「Dance 2 Night」とかはなかなか悪くないかもっていう気もします。これらを合体させてマッシュアップしたらめちゃ傑作が出来そうな。とりあえず、もうちょいマドンナの他の作品を掘ってみたいなと思いました。っていう感じで、さようなら。



「4 Minutes featuring Justin Timberlake」PV。↓



ついでに「American Life」も。ビートカッコいい!


タグ:ダンス
posted by ケニー at 14:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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