2008年10月24日

INLAND EMPIRE。

デヴィッド・リンチ 『インランド・エンパイア』(2006) ☆8.2

『ブルーベルベット』、『マルホランド・ドライブ』などでおなじみ、奇才デヴィッド・リンチ監督の悪夢じみた最新作です。前評判でいろいろ聞いていたよりかは、ずっと映画の体裁は保っててちゃんと三時間、観賞できました。よかった。という訳で、あらすじを。↓

ローラ・ダーン演じるニッキーは、かつてアカデミー主演女優賞にも輝いた経歴を持つ女優なんだけど、今では少し落ち目でなんとかして再起を夢見ている。そんな所へハリウッドの大作映画のヒロイン・スーザン役のオファーが舞い込み、喜び勇んで撮影へ向かうニッキー。しかし、リハの途中、ヒロインのニッキーとその相手役のデヴォン(ジャスティン・セロー)を前にして監督(ジェレミー・アイアンズ)からこの映画が実は曰く付きの映画であることを打ち明けられる。この映画『暗い明日の空の下で』は、かつて未完成でお蔵入りした『47』というポーランド映画のリメイクで、しかも当時の主演二人が何者かに殺され、撮影は頓挫してしまったのだった。二人は少なからず動揺するものの、ハリウッドには都市伝説は付きものと割り切って、本番の撮影に臨むのだが‥‥。

inland-01.jpgで、もうちょいあらすじを続けますが、この『暗い明日の〜』っていう話は、主演の男女二人が不倫の関係で身を滅ぼすというメロドラマなんだけど、このそれぞれの人物設定がニッキーとデヴォンのそれに非常に似ていて(つまりどちらも家庭を持っていて)、それ故に次第にフィクションとリアルの境があやふやになっていって、ニッキーなのかスーザンなのか一体誰なのか良く分からなくなっていって‥‥。という話です。今作は何にも決めないでデヴィッド・リンチがホントに撮りたいように撮ってるっていうような話を聞いてたので、僕としてはもっと支離滅裂なことになってるのかと思ってたんですがこの話の展開とか意外や意外、かなりベタでした。フィクションとリアルの境が融解していくような話っていうのはもはや一つのジャンルだと思われ、そこはちょっと面白味がないなーと思ったんだけど、でもそこで描かれるリンチ的悪夢のイメージはやっぱなかなかにエロカッコいい。

特に中盤から後半にかけてデカダン臭ムンムンのビッチ集団が出てくるんだけど、この娘たちがエロい。これは絶対リンチの好みが反映されてるでしょ。個人的には彼女たちメインで『シー・デビルズ・オン・ホイールズ』をリメイクしてほしいところです。あと、劇中劇の主演二人のシーンなんかは、下品な口角とか使わないでスゴくクラシックに撮ってるんだけど、あーやっぱりこういうしっとりとした上品な画面も撮れるんだなーって感心しました(って、当たり前か?)。とにもかくにもカッコいい画面はいっぱいある。でも、なんか惜しい感じ。



予告。↓

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2008年10月17日

監督‥‥。

北野武 『監督・ばんざい!』(2007) ☆8.0

新作『アキレスと亀』がただ今公開中である北野武監督の『TAKESHIS’』に連なるような自己言及的な問題作です。一応プロモーションではコメディっていうことで銘打って公開したみたいですが、僕の感想としてはこれはコメディとかじゃなく、なんていうかとても悲しくも空虚な映画でした。たけしは一体どこへ行ってしまうんだろうか‥‥。とりあえず、簡単にあらすじを。↓

「もうギャング映画は撮らない」と公言した「世界のキタノ」こと北野武監督だったが、しからばどんな映画を撮ったらいいのか一向に分からず、一人苦悩している。小津のようなモノクロで古風な日常モノを撮っても今の時代ではまず流行らないし、愛と涙のラブストーリーも思いつきだけでパッとしないし、「昭和30年代ブーム」に乗って自らの少年時代の状況を活写しても、そこには貧困や差別ばかりで暗くなってしまうだけだし、ましてや時代劇は『座頭市』でやってるし、ホラーは怖くないしで、「もう、どうしたらいいんだ!」という感じの北野監督。もはや残された道は、岸本加世子と鈴木杏の母子が織りなすシュールなコメディ路線しかないと藁にもすがる思いで撮り始めるものの、話はどんどん破天荒で支離滅裂な方向へ進んでいき‥‥。

bannzai-01.jpgという訳で、本作は主人公が監督本人であるというメタ・フィクショナルな形式になってて、そんな監督の下でいろんな案の映画が撮られる中『TAKESHIS’』同様にシュールでナンセンスな展開が巻き起こることになる。本作の最初のカットがある意味で象徴的なんだけど、監督の北野武の横には劇中ずっと監督を模した等身大の人形がくっついて回ってて、この人形が冒頭でCTスキャンに掛けられてるんですね。で、当然ながら中身は空っぽで、もはやこの時点でこの映画の語らんとしてることが言い尽くされた感じ。「俺には何もない」っていうか、「何もない」っていう事実だけが「ある」っていうか。とにかく観てる間中、辛かったです。

ちょっと前のエントリーで『Helpless』の浅野忠信演じる健次について「完全にぶっ壊れた非人間的な男」って書いたんだけど、なんとなくたけしにもそういう自暴自棄感というかそんな感じが見てとれました。おそらく映画はスゴい好きだし、小津や黒澤明やその他の巨匠を敬愛してたりするんだろうけれど(蓮實と対談してたりするし)、だからこそ自分にはもうすることがない、自分にはもはや何も出来ないっていうことになって、だったらもうどうでもいい、何をしたところで「世界のキタノ」っていう一個の消費財に過ぎないし、映画なんて元々そんなもん、みたいな心底シニカルな思考に到ってしまうんじゃないか。そもそも頭の良い芸人って松本人志とかみんなシニカルだと思うし。なんとなくTVタックルとかのたけしを見てても、そういうシニシズムというか「別に政治とか俺の出る幕じゃないし、ハハハ‥‥」みたいな感じがちょっと窺えるし、辛そうなんですよね。今期から始まったブロード・キャスターの後枠の司会にもなったみたいだし‥‥。別にたけし批判とかじゃなくて、非常に暗い影が落ちてるように見えて、心配です。タランティーノとかを見習ってほしい。

たぶん、僕はもうたけしを見て腹抱えて笑うようなことはないんじゃないかとぼんやり思います。自殺とかしなければいいけど‥‥(僕のことじゃないよ、っていうか今回のエントリーやたら暗いな)。



予告。↓


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2008年10月10日

TRANSFORMERS。

マイケル・ベイ 『トランスフォーマー』(2007) ☆8.4

『アルマゲドン』、『パール・ハーバー』のマイケル・ベイ監督、スピルバーグ製作総指揮のSFアクション。本作は、80年代に一世を風靡した玩具やアニメシリーズの実写バージョンなんですが、何はともあれILMが担当したCGがヤバいです。さすがにピクサー、レベル高い。噂によると、今ハリウッドでオリジナル作品を製作できる体力があるのはピクサーだけっていう話もあって、そういった底力が垣間見れた感じ。という訳で、あらすじ。↓

中東カタールに位置する米軍基地でのこと。兵士らが銃を携え見守る中、一機の未確認ヘリコプターが基地へと降り立つ。再三の警告に従ってヘリコプターはそのエンジンを切って停止したかに見えたが、その瞬間、当のヘリコプターは突如「変身」し、巨大なロボットに姿を変える。兵士らはパニックで発砲をくり返すもロボットのボディには傷一つ付けられず、基地は全滅。その報を受けた国防長官は全米軍基地に警戒態勢を指示し、敵の解明に乗り出す。で、ちょうどその頃、オタクで冴えない非モテ学生、サム・ウィトウィッキー(シャイア・ラブーフ)は父と約束した条件(2000ドルを自分で負担+高校の成績A評価三つ)をクリアし、念願のマイカーを買ってもらえることに。いざ車をゲットし、前から気になっていた同級生のミカエラ(ミーガン・フォックス)に声を掛けるサム。ちょうど彼女は粗野で横暴なボーイフレンドと仲違いしたところで、サムの車で送ってもらうことを了承する。「この車のおかげだ」と喜ぶサムだったが、ある日の深夜、エンジン音が鳴り響いて、はて?何だ?と見ると車が車庫を勝手に出て行く。必死に追いかけ、着いた先の工場現場でサムが見たのはなんと、自分の車が人型のロボットに変形する瞬間だったのである‥‥。

trans-01.jpgという訳で、もうちょいあらすじ書くと、このロボットたちは宇宙からやってきた金属生命体でこの地球に存在する「キューブ」と呼ばれる危険な力を宿した物体を探してて、で、サムの車(名前がバンブルビー)の一派と敵対するディセプティコンっていう悪者の一味も地球にやってきてて、で、サムはバンブルビーたちと一緒に闘うことになる、と。まあ、話のベタさはさておき、このがっつり実写でロボットモノやっちゃうっていうところがありそうでなかった感じで燃えた。冒頭で、カーペンターの傑作『クリスティーン』を思い出し、精悍なボディを纏ったロボットの登場に、かつて大好きだったプラモデルの「ゾイド」シリーズとかパトレイバーのアニメとか最近だとエヴァとか、そういったちょっと懐かしいロボットの記憶が想起され、すごく男の子的にワクワクでした。サソリ型のロボットとかああいうの大好き。

とはいえ、欲を言えばもうちょっと宇宙規模でコトが展開した方がずっと圧倒的なスケール感が出るんじゃないかと思ったのも事実。結局、この話アメリカの国内を出ないし、出てくるロボットもせいぜい十数体しかいなくて、どことなく世界観が狭い。『スターシップ・トゥルーパーズ』の昆虫並に何万というロボット軍が押し寄せてきたら「うおおおおー!」って唸っただろうに、勿体ないわ。あと、ラストに近づくにつれての主人公サムを始めとした登場人物らの正義感と使命感の発露はちょっと冷める。説教臭いというか。あまりに主人公がカッコ良くなりすぎて、ちょっと、どうなの?っていう感じでした。でも、こういうのをモロに実写で表現できるっていうのがハリウッドの絶対的な強味なのでそこはどんどんやってもらいたい。実写版『ドラゴンボール』に期待だ!

昔のとはなんか違うけど、今のゾイドもかっくいい。↓



予告。↓

Transformers
posted by ケニー at 18:34| Comment(0) | TrackBack(1) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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