2008年06月18日

やわらかい。

廣木隆一 『やわらかい生活』(2005) ☆7.9

『ヴァイブレータ』の廣木隆一監督が、絲山秋子のデビュー作である小説『イッツ・オンリー・トーク』を映画化したのが本作で、主演が寺島しのぶ。調べたところ、本作の公開時のキャッチが「それとな〜く幸せ」っていうフレーズだったらしいのだが、いやーコレそんな「ほのぼの日常犬猫系」な話じゃないでしょー。嘘はイカンよ、嘘は。

で、あらすじですが、35歳になる優子(寺島しのぶ)は、かつての両親の事故死をきっかけにうつ状態になり、それ以来、入退院をくり返している。長期の入院もあって大学時代の友人とも疎遠になり、優子は何となく下町感漂う蒲田へと引っ越してくる。そこは優子の言葉を借りると「粋のない下町」という感じで、そのどことなく猥雑で下世話で、だけどなんとなく懐かしい雰囲気が彼女の精神を癒してくれるような、そんな街なのだった。で、そんな宙ぶらりんな彼女の周囲に、妻子持ちの痴漢(田口トモロヲ)や、EDで勃たない大学時代の友人(松岡俊介)や、これまた妻子持ちでありながら実家の福岡を飛び出してきたいとこ(豊川悦司)や、うつを抱えた気の優しいヤクザ(妻夫木聡)などがふらふらと出たり入ったりする、そんな切ない物語なのです。

今回のあらすじ、ちょっとやっつけ感丸出しですが、こういう特に出来事を中心に進んでいくような話じゃない雰囲気ベースな作品っていうのは、なかなかまとめるのが難しいですね(って、実際はちょっと面倒臭かったっていうハナシもあるとかないとか‥‥)。まあ、つまり、もう若気の至りでバカも出来ないし、周りは結婚して家庭を築いていくし、かといって没頭できるような仕事もそのスキルもないし、病気の所為で彼氏は出来ないし、あるのは死んだ両親の保険金と、大学時代の昔話と、くり返し訪れる躁鬱の波だけで、「人生って何なんだろうね‥‥」っていう非常にダウナーな話な訳です。

んで、実は、僕は絲山秋子の原作を以前読んでたんだけど、途中でやめちゃったんですよね。あんまり面白くなくて。これ2003年に書かれた小説らしいんだけど、それにしてはちょっと野暮いんですよね、一個一個のモチーフが。合意の上の痴漢プレイとかEDとか躁鬱とかヤクザとか、何となく90年代っぽいっていうか「ん〜、分かるけどさあ‥‥」っていう感じ。う〜ん、難しい。別に悪い作品じゃないんですけどね。撮影とか丁寧でいいし、あと何気に劇中の音楽がイイ。nidoっていうの人が作ってるらしいけど、何者でしょうか?

と、ちょっと辛口でしたが、でも、絲山秋子の芥川賞受賞作『沖で待つ』はマジ傑作なのでおすすめです。



作品紹介。↓

http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=6380
posted by ケニー at 01:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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