2008年09月05日

アルトマン、遺作。

ロバート・アルトマン 『今宵、フィッツジェラルド劇場で』(2006) ☆8.5

久々の更新です。今回は、ロバート・アルトマン監督の遺作となった群像劇です。思い返せば、僕は辛うじて『M★A★S★H マッシュ』だけは観たけどその他のアルトマン作品は全然観たことないっていう人間で、いきなり遺作なのでなんかこう感慨深いものとか特にないんだけど、やっぱりこれは何というか、後付けを承知で言うと確かに「遺作」っぽい雰囲気に包まれてるような気がしました。「閉じるドアがあれば、開くドアがある」っていう聖書(?)からのセリフがそれをよく表しているような。という訳で、とりあえずあらすじ。↓

ミネソタ州セントポール。毎週土曜日にはギャリソン・キーラー司会の人気番組「プレイリー・ホーム・コンパニオン」の公開生中継が行われてきたフィッツジェラルド劇場に、その夜もまたカウボーイ姿の下ネタコンビ・ダスティ&レフティ(ウディ・ハレルソン&ジョン・C・ライリー)やベテランシンガー・チャック・エイカーズ(L・Q・ジョーンズ)、カントリー・デュオのジョンソン姉妹(メリル・ストリープ、リリー・トムソン)、元探偵で今は劇場の保安係であるガイ・ノワール(ケヴィン・クライン)などおなじみの顔ぶれが楽屋に集う。実は、今夜は番組最後の放送。ラジオ局は買収され、劇場はとり壊されることが決まっている。しかしギャリソンは「我々は常に笑いを伝えるんだ」と悲哀を拭いつつ、いつも通りの小気味良い調子で番組はスタートする‥‥。

「プレイリー・ホーム・コンパニオン」っていう番組は今でも実際に続いているラジオ番組らしく、本作ではギャリソン・キーラーは本人役で出演しています。非常に不思議な、リアルとファンタジーの間を浮遊するような雰囲気が本作にはあって、なかでも印象的なのが白いトレンチコートの女の存在(ヴァージニア・マドセン)。ネタが割れても問題ないような気がするので言っちゃうけど、本人曰く、彼女は運転中に番組を聞いていてギャリソンのトークに爆笑してその所為で事故って死んだらしく、そんな彼女がなぜか舞台裏をふらふらと歩きながら、不思議な眼差しで番組の収録を見つめている。ギャリソンにあの時のギャグはどういう話だったか聞くシーンとか、しょうもないけどスゴく切ない。

これは何年頃の話を描いているのかちょっとど忘れしたんだけど(下ネタに「バイアグラ」とか「BSE」とか出てきたから最近の話なのかな?)、かつての時代が非常にゆったりとした雰囲気の中でゆっくりと「終わっていく」っていう感じが観ていくうちにじわじわくる。番組打ち切りを決めた買収先の新オーナー(トミーリー・ジョーンズ)が劇場を訪れ、最後の放送を眺める眼差しは立場は全く異なるけれどトレンチコートの女のそれと変わらないような気がするし、それは時代の要請だといえばそれまでなんだけど同時に「開くドア」としてのリンジー・ローハンなどがいてさ‥‥。って、えっと何言ってるのか分からないんだけど、何ていうかかつてのヴェンダースがやろうとしてたことをすんなりと実現してるようなそんな非常に贅沢な映画なのでした。ポール・トーマス・アンダーソンの『マグノリア』とかはこういう師アルトマンのエッセンスから出来ているんだなあ、としみじみ。



予告。↓


ラベル:群像劇 コメディ
posted by ケニー at 18:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。