現役最高齢でポルトガルの巨匠監督、マノエル・デ・オリヴェイラのアダルトでエレガンスな小品です。原案はルイス・ブニュエルの『昼顔』(未見)から採られていて、本作はその38年後を描いたオマージュ的な作品。主役のアンリ・ユッソン役にすっかりお爺ちゃんな感じのミシェル・ピッコリ、ヒロインのセヴリーヌ・セルジー役にビュル・オジェ。実はオリヴェイラ作品初めて観たんですが、イメージしてた感じに割と近い、上品で静的な映画でした。以下、あらすじ。↓
パリのクラシックのコンサート会場で、アンリは客席に知った顔を見つける。終演後、その彼女セヴリーヌに声を掛けようとするも、近づく彼に気づいたセヴリーヌは逃げるようにして会場を後にしてしまう。会場を出てとぼとぼと夜道を歩いていると、ある一軒のバーから出てきて車で走り去る彼女を再び目撃し、そのバーのバーテンに彼女の泊まっているホテルの名を聞くアンリ。翌日、そのホテルへと赴くが惜しいところで逃げられ、再び彼女は行方知れずになるが、偶然にもパリの路上でバッタリと出くわし、なんとかディナーの約束を取り付けてテーブル越しに向かい合う二人。かつての思い出の品などをプレゼントしようとするアンリに対して、「私はもう、あの頃の私じゃないの」とセヴリーヌは冷たく拒絶。自ずと話は38年前の過去の真相へと移っていき‥‥。
『昼顔』を観てないので詳しくは分からないんだけど、どうやら二人はかつて不倫の関係にあったらしい。セヴリーヌには夫がいたんだけどマゾヒスティックで倒錯的な欲望を持った若かりし頃の彼女は「夫への愛」ゆえに夫の友人であるアンリと関係を持ってしまったという、そういう過去があって、アンリは未だにその時の情熱を捨て切れていない様子。でも、セヴリーヌからしたらその過去は呪縛のようなモノで、ディナーを承諾したのもずっと気がかりだった事柄、「アンリが夫に喋ったのかどうか」を訊くためにレストランへとやってきた。彼女は、今や亡き夫がかつて自分の前で見せた一筋の涙の意味がどうしても知りたいとアンリに食い下がるんだけど、この「涙の意味」っていうフレーズがロマンチックでイイなと、ぼんやり思った。以前紹介した『アウェイ・フロム・ハー』とか初老の男性が淡い恋心を抱く映画に僕は結構弱い気がするんだけれど、でも本作は70分という短さ故かすごく良く出来た短編映画っていう感じでなんだかちょっと物足りない。これはもしかしたら『昼顔』を観ていたなら全然違って見えるのかもしれないけど、本作だけ観ると「いやいや、ここからでしょ〜」っていうところで終わってしまい、ちょっと残念。蝋燭による光と影の演出とかスゴく奇麗だけど、フランス映画ではよくある風景な感じもちょっとしました。惜しい。でも、ミシェル・ピッコリは可愛らしい。
予告。↓
Belle Toujours
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