井口奈己 『人のセックスを笑うな』(2007) ☆6.5
という訳で、早速ですが、本年1発目のレビューはゆる〜い日常がイイ感じにまったりだった前作『犬猫』で人気を博した、井口奈己監督の最新作です。原作は第41回文藝賞を受賞した山崎ナオコーラの同名恋愛小説で、主演に最近人気著しい永作博美と松山ケンイチ。本作は公開後の評価も高くて、かなりの期待感を胸に抱きつつ観てみたんですが、う〜ん、どうなんでしょう、コレは。メンツとか設定とか絶対話題になるな〜っていう感じで、実際、単館公開で話題になってどんどん上映館が増えていったみたいなんだけど、僕としてはぶっちゃけちょっと退屈だったなー。ん〜、まあ、とりあえず、簡単にあらすじ行きましょう。



という感じで、ちょっとこの展開だけ聞くとかなりベタなAVのシナリオみたいですが、実際のところほとんどそんな感じではあります。この後、そんなこんなでヌードデッサンのモデルとしてユリのアトリエに通ってるうちに、二人は自ずとそういう関係になっちゃってこちとら羨ましくも腹立たしい気分で「なんだかなあ‥‥」っていう感じです。事が終わった後の非常にリアルで自然体ないちゃつき具合とか、二人とも演技上手いなーと思うんですけど、ラブラブで仲睦まじい美男美女カップルとか別に見たくないというのが僕の本音だったりします。まあ、結局後半でみるめはユリに遊ばれてたことを知って、ショックを受けて、でもどうしても忘れられなくて悶々しちゃうことになるんだけど、そこら辺も展開というには特になんもなさ過ぎてフツーに退屈でした。みるめに片思いする蒼井優演じるえんちゃんはそんな中でも頑張ってはいたけれど、でも蒼井優っていっつもあんな感じだしなぁ。
本作が固定の長回しによってそのほとんどのシーンが撮られてるというのも、この停滞感に寄与してるような気もするし、そういった撮影を好んでいる故なのか俳優のアクションで繋ぐようなカット間の編集がなんとなくヘタだと思った。みるめがユリの実家を訪れて、こたつに入ってお菓子を食べている時に二階からユリが降りてきてフレームインする所の繋ぎとかアレで良いんだろうか。なんか『犬猫』では感じられなかったお粗末な部分が本作ではいろいろ垣間見れた感じがして、『犬猫』ファンとしては複雑な思いです。でも、もしかしたら本作をカップルで観たりすると、ほんのり艶っぽい雰囲気になってお互いにわかに盛り上がり、劇場を出てからラブホ街に消えたりといった、そういった効果があるんでしょうか?僕には何ともわかりません。そして、ラストに出るテロップに激しく虚脱。
予告。↓
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