2008年03月14日

Black Book。

ポール・ヴァーホーヴェン 『ブラックブック』(2006) ★9.3

『スターシップ・トゥルーパーズ』のポール・ヴァーホーヴェン監督が、故郷のオランダに帰って作り上げた戦争大作。1944年、ナチス占領下のオランダで、国外へ脱出する最中にドイツ兵によって家族を皆殺しにされたユダヤ人女性・ラヘルは奇跡的にレジスタンスに匿われて復讐を誓い、エリス・デ・フリースと名乗ってナチスの将校・ムンツェに近付いていく‥‥。我が身可愛さに嘘をついたり、富や名声の為に仲間を裏切ったり、殺したい相手とダンスを踊ったり、ここでは誰もが誰かを欺いているような無情な世界が描かれていて、ヴァーホーヴェンの極めて冷徹な人間観が窺えます。その視線は、他の多くのナチスを描いた戦争映画とは異なっていて、彼らを絶対的な「悪」にして「怖いね」っていうところで終わらせるんじゃなくて、「ナチス」的なものがどこにでも誰にでも宿っているっていうことを言わんとしていて、その意味で『M』や『死刑執行人もまた死す』などでフリッツ・ラングが示した残酷さにスゴくよく似ている。ヴァーホーヴェンも今作で戦争終結後をしっかりと描いていて、そこでは元ナチスの軍人がかつてのユダヤ人のように扱われて、民衆の前で裸にされ、弾劾させられる。敗戦が濃厚になってきて、その後の自分の境遇に怯えるナチス将校の姿なんて、僕はこれまで観たことなかったし、それゆえにこの無情の世界に終わりはないっていうリアリズムが否が応にでも突きつけられて正直ヘコむんだけど、でも同時に、暴露した所で誰も歓迎してくれないであろうそういった現実を見せ続けるヴァーホーヴェンのハードコアな意志に感動します。あと、主演のカリス・ファン・ハウテンがめちゃくちゃイイです。



予告。↓

posted by ケニー at 04:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/89507629

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。