2008年04月11日

ペンギン村。

ジョージ・ミラー 『ハッピーフィート』(2006) ★8.5

南極で暮らす皇帝ペンギンの群れの中に「みにくいアヒルの子」ならぬ「みにくいペンギンの子」マンブルが誕生したことをきっかけに巻き起こる騒動を、ミュージカル仕立てに描いたフルCGアニメーション。監督は『ベイブ/都会へ行く』(1998)以来メガホンを取ってなかったジョージ・ミラー。声優陣もイライジャ・ウッド、ブリタニー・マーフィー、ニコール・キッドマンとかなり豪華で、本作で『カーズ』を押さえてアカデミー長編アニメ部門を受賞しました。
で、あらすじですが、皇帝ペンギンたちは産まれた時から「心の歌」っていうのを一人一人が持っていて誰もが各々自分なりの歌を歌えるんだけど、一番遅れて産まれてきたマンブルだけはなぜか歌がとてもヘタで、みんなからバカにされている。でも、マンブルは踊ることがとても好きで、歌えない代わりの感情表現としてタップを踏むんだけど、それすらも下品とかはしたないとか言われて大人たちからうざがられてて、そんな中、ペンギンたちの餌である魚がどんどん減っているっていう問題が起きる。で、それはきっとマンブルの踊りのせいだっていう風に決めつけられて、彼は群れを追放されてしまう。なんとか濡れ衣を晴らそうと、マンブルは新たに知り合ったアデリー・ペンギンのノリノリ五人組とともに魚の減少を調べる為の旅に出るというストーリー。
「なんでペンギンがタップを?」っていう感じもありますが、意外や意外この組み合わせはかなりイイ。産まれたばっかりの産毛に覆われたマンブルが踊るのとか、めちゃ可愛くて僕はもう冒頭からハマりました。なんか知らないけど、産まれた当初からマンブルは常に足元に落ち着きがなくて氷をいっつもパタパタパタパタしてて、危なっかしくてほっとけないんですよね。僕にも母性本能があったとは驚きです。中盤からは青年みたいになってしまってちょっと残念なんですけど、そこからは割と失恋とか追放とかシリアスな雰囲気を帯びていく。で、魚の減少の原因っていうのが実は人間がごっそりと魚を獲っていってしまうからで、その原因を突き止めたマンブルは群れの元に帰ることをせずに「やめさせなきゃ」って言ってでかいタンカーを泳いで追っかけて行くんですね。でも追いつけなくて疲れ切ったマンブルは南極からは遠く離れた岸辺に打ち上げられて、そのペンギンを見つけてとある一台の車が停車する。僕はてっきりなんか動物とかに理解のあるおじいさんが出てきてマンブルを看病するような展開になるのかと思ったんだけど、マンブルが目を覚ましたその場所は水族館のガラスの中なんですよ。周りには見物客がウジャウジャいて、壁には南極の絵が書いてあってマンブルは最初この壁にぶち当たったりして、これには僕は結構なショックを受けましたね。周りのペンギンたちはその生活に慣れ切っていて「ここはペンギンの天国だよ」とかって廃人のようになってて、マンブルは最初は「魚を獲るのをやめてください」って人間たちに訴えてるんだけど、当然相手には伝わらなくて、で、三週間が経過しちゃう。そこでは他のペンギン同様にマンブルも係の人から従順に餌を貰うようになってて、この展開はホントにヤバいと思った。このままのスキャナーダークリーな終わり方で終わってたら僕の中でかなりのトラウマ映画になったのではないかと思うんだけど、でもなんかこの後マンブルが家族の幻想を見て、再びタップをし出すと踊れるペンギンっていうことで一気に人気者になってちょっとよく分からないまま、人間たちのシンポジウムの映像とかニュース映像とかが出てきて、ペンギンの生態系が崩れ始めててコレは問題だっていう世論が起きて、最後するするとハッピーエンドになっちゃうんですよ。これには「そりゃないよー」って思いましたね。水族館からどうやって出るのかを僕は一生懸命考えてたのに、そんなご都合主義は反則でしょう。このラストが実に勿体ない。「その後、彼は水族館で死ぬまで踊り続けた‥‥」っていう方がニジンスキー並に残酷だけど間違いなく傑作だったでしょうに。まあ、そうなるともはや「ハッピー」ではないけどね。あー惜しいなー。



予告。↓

posted by ケニー at 07:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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