2008年04月20日

UNITED 93。

ポール・グリーングラス 『ユナイテッド93』(2006) ★9.3

9.11でテロリストに乗っ取られた四機の飛行機のうちの一機、ユナイテッド航空93便の機内の状況をこれでもかっていうぐらいの臨場感で描いてみせた傑作ノンフィクション。他の三機はWTCや国防総省に向かっての特攻を成功させたんだけど、93便だけは同乗していた乗客たちの懸命な抵抗によって、ターゲットに突っ込むのを回避してどこか畑みたいなところに墜落した唯一の飛行機で(犯人や乗客らは全員死亡)、その離陸してから墜落するまでをほとんど実時間に近い形でこの映画は再現しています。これを観ると、ハイジャックされてからも乗客たちは犯人に悟られないように家族などへ電話を掛けていて、だからおそらくそれらの情報から機内の状況は再現されているっぽくて、きっと相当実際の状況に近いんじゃないかと推測できる。ステディカムで撮られた揺れ動いている機内の映像と、ボストンやニューヨークの管制塔や軍の司令部の慌ただしい映像がタイトにカットバックされて、本当に息つく暇がない濃密な展開で、実際にその渦中に投げ込まれたようなリアリティで頭がクラクラしてくる。93便の犯行っていうのは、他の三機がそれぞれ特攻した後に起きてて、だから電話をかけた乗客たちは自分らの他にもハイジャックされた飛行機があることを知り、それら飛行機の顛末も同時に伝わる。それでこれが自爆テロだということを93便の乗客たちが理解して顔面蒼白状態になるんだけど、「どっちみち死ぬなら力づくでコクピットを取り返すしかない」って一人の男が提案して、何人かの屈強な男たちがそれに続く。この瞬間がすこぶる映画的でグッとくる。これが何かを要求するようなハイジャックならばじっとしていれば良いんだけど、自爆テロとなればもう残された道は一つで、死にたくないならば行動するしかない。この「やるしかない」っていう断固たる決意(テロリストも同様に)、以前『サイレントヒル』の時に書いた「腹を決めた感」と同じモノがこの『ユナイテッド93』にもあって、これこそが映画の描き得るリアリティだと思った。墜落直後、どんどん間近に近づく地面にズームしていくカメラが、否が応でも確実に訪れる死を想起させて恐ろしいです。あと、何気ないけど細やかに作られた重々しい音楽がすごくいい感じ。担当のジョン・パウエルは『ハッピーフィート』でも音楽をやっていたらしくてそのギャップにビックリ。



予告。↓


posted by ケニー at 00:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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