2008年05月01日

RFK。

エミリオ・エステヴェス 『ボビー』(2006) ☆9.4

「ボビー」っていうのはロバート・F・ケネディ(JFKの弟)の愛称で、彼が1968年の6月5日、LAにあるアンバサダー・ホテルで暗殺されるその日の1日の出来事を描いた群像劇。今作は公開当時あんまりその評判を聞かなかったけど、それにしては出演者がやたら豪華です。製作総指揮に名を連ねてるアンソニー・ホプキンスを始め、デミ・ムーア、シャロン・ストーン、ローレンス・フィッシュバーン、ヘザー・グラハム、ヘレン・ハント、アシュトン・カッチャー、クリスチャン・スレイター、イライジャ・ウッド、っていうすごい面々。監督のエミリオ・エステヴェスもデミ・ムーアの夫役で出てます。
不勉強ながらおぼろげにしか知らないけれど、1968年っていうのはベトナム戦争が泥沼化し、アメリカ国内では膨大な戦費の影響やらで格差が拡大してて、黒人や左翼やヒッピーたちなどのマイノリティを中心にした反体制運動がピークに達してて、至る所で暴動が起きていたような暴力の時代で、この五年前にはロバートの兄であるJFK、そして一ヶ月前にはキング牧師がそれぞれ暗殺されている。ロバートっていう人は上記の二人に肩を並べるぐらいに多くの人々に愛され、支持を受けていた若きヒーローだったんだけど、民主党の予備選挙のキャンペーン中、カリフォルニアで勝利して演説を終えたその直後に凶弾を受けて殺されてしまう。本作は、そのアンバサダー・ホテルにその時いた人種も年齢もバラバラな人々を描いていて、落ち着いて凛とした雰囲気がどことなく『マグノリア』に似ている感じもする。登場人物たちが示しているのは、差別だったり貧富の格差だったり、老いによる不安だったり、漠然とした空虚感とか寂しさだったりっていう誰もが日々感じるような普遍的な苦悩と不安と、それゆえに失われていく他人に対しての寛容さで、これは当時のアメリカだけに限定されない非常に切実なテーマだと思います。この「心なさ」は今や世界のどこにでもあって、先日チューリップの花をビニール傘で叩き切ってる会社員の監視カメラの映像が流れてたけど、まさにああいう感じが現代的な病巣だという気がする。「自分が苦しい状況だからこそ困っている人間を助けるんだよ」っていうのは昔観たBSのドキュメンタリーに出ていたハイチで生きるストリート・チルドレンの青年の言葉ですが、そういった精神と同じものがこの映画にも感じられて非常に感銘を受けました。ラスト、ホテルのパーティー会場でロバート・F・ケネディが演説をする実際の映像を使った長いシーンがあるんですが、壇上の「ボビー」を陶然とした様子で見つめる聴衆の表情が、ホントにこの先にある「希望」を見つめているかのようにキラキラしてて素晴らしい。今作では役者がみんな最高の演技をしてて、それもまた「ボビー」のカリスマ性なのかなと思った。



予告。↓


posted by ケニー at 03:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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