2008年05月15日

恋愛睡眠おすすめ。

ミシェル・ゴンドリー 『恋愛睡眠のすすめ』(2005) ☆8.9

『ヒューマンネイチュア』で長編映画デビューを果たしたPV監督出身ミシェル・ゴンドリーの三作目となるラブストーリー。主演の青年ステファンを『アモーレス・ペロス』のガエル・ガルシア・ベルナルが、ヒロインのステファニーをシャルロット・ゲンズブールがそれぞれ演じています。ミシェル・ゴンドリーって今まで観たことなかったんですが、いやーこれはかなりイイですね。こんなピュアな物語は久々に観たような気がする。どことなくウェス・アンダーソンの描くファンタジー世界に似ているというか。
ストーリーを説明すると、父親が癌で亡くなったのをきっかけにしてステファンは今まで暮らしていたメキシコから、別居中の母親が住むパリへと戻ってくる。彼女が大家として管理するアパートの一室に居を構えたステファンは、母の紹介してくれたカレンダーの制作会社でイラストレーターとして雇ってもらう予定だったんだけど、行ってみると実はレイアウトの仕事だと言われて、「こんなの最低だ」と愚痴りながらも渋々働くことに。そんな折に隣の部屋に引っ越してくるのがステファニーで、ステファンは知的でクリエイティブな雰囲気を持った彼女にどんどん惹かれていくんだけど、「私、恋人はいらないの」と拒絶されてしまう。上手くいかない現実に対して、夜な夜な夢の中だけで自分の理想郷を作り上げるステファン。そこでは威張り散らしている会社の社長を窓から放り投げ、オフィスの壁には自分の絵が何枚も飾られ、隣にはステファニーがいるというまさに夢のような世界なんだけど、徐々にその妄想が現実とごっちゃになっていってしまう‥‥。
ステファンが引っ越してきた部屋っていうのは、かつて少年時代に自分が暮らしていた内装や家具などがそのまんま残っている子供部屋なんだけど(ここは実際、ミシェル・ゴンドリーが幼少期に暮らしていた部屋らしくて、ステファンはつまり自伝的な人物として描かれています)、これは未だにステファンが子供の頃のファンタジーを捨て切れていない、良くいえば子供の心を持ったピュアな青年っていうことを表してて、でもだからこそステファニーとの恋愛は上手くいくはずもなく、すごくみっともない。彼女と会うたびに言わなくてもいいような下ネタを口走ったり、彼女が他の男と楽しそうにしてるだけで飲んだくれて支離滅裂なことを叫んだり、留守中の彼女の部屋に侵入して、壊れてるポニーの人形を勝手に直そうとしたのがバレて変態扱いされたり、もうホントに不器用で病的で最後も全くハッピーエンドじゃないんだけど、でもこの悲劇にはどことなく幸福な雰囲気が漂っていてそこがとても感動的です。おそらくそのハッピーな雰囲気っていうのは、ミシェル・ゴンドリー自身が子供の頃から抱いてきたであろうアニメーションに対する愛情が源泉だと思われる。修理を終えたポニーの人形がピアノの鍵盤の上で元気に踊っているところとか、段ボールで出来た車で逃げるところとか、蛇口をひねると水色のセロファンが出てきたりとか、そういった原初的な想像力というか空想力というか、そういったイメージが素晴らしい。本作はフランス映画なんだけど、フランスといえば僕の中で真っ先にあがる名前がジャン・ヴィゴっていう1930年代とかに活躍した監督で、彼の『新学期操行ゼロ』っていう作品の中に、子供たちが書いたノートの落書きが動き出すっていうシーンがあって僕はすごくびっくり&感動したんですけど、この『恋愛睡眠〜』にもそれに似た自由さが感じられてすごく瑞々しいです。フランス映画っていうのは僕の印象だと、そもそもそういったピュアな想像力の賜物だったような気がするんだけど(そんなにフランス映画に詳しくないですが)、いつからかすごく高尚な感じになっていってしまったのがちょっと残念っていえば残念な気もする。

それはそうと、ジャン・ヴィゴのDVD-BOXってリリースされてるんですねー。コレはめちゃくちゃほしいなー。↓



予告。↓


posted by ケニー at 05:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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